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導入事例《個人関連》
太陽光発電(福田さん/広島県東広島市)
食料もエネルギーも本来は贅沢品のはず。少しでも自給できないか、そう考えて太陽光発電を導入しました。

98年当時は、システムメーカーも住宅メーカーも、まだまだ経験が浅かった。

Q:太陽光発電導入を思い立たれたきっかけは何だったんですか?

福田:日本の食料自給率が非常に低いこと知って、自分が食べるものを自分で作ることはできないだろうかと考え、まず農業に興味をもったんです。でも農作物を自給するのは現実的にむつかしい。じゃあ電気を作ったらどうだろう?というのがきっかけです。日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。自分たちの生活に必要なエネルギーは自分たちでつくる。そうすれば私も自給できるものを持てる。そう思ったんです。太陽光発電については、たぶんテレビかなにかで知ったんだと思います。太陽光で発電をして、電気を売ったり買ったりできるという。

Q:で、新築を機に太陽光を導入しようと?

福田:そうです。東広島に家を建てようという計画が先にあったのですが、エネルギーを自給したいという思いが強くなり、この際だから太陽光発電もとりつけようと考えたんです。ハウスメーカーは既に決めていたので、相談に行ったら、まだ太陽光発電をのせた経験が一度もない、と。だったらお互い、勉強のつもりでいっしょにやってみようということになったんです。

Q:システム選びについては、どうされましたか?

福田:当時、私が知っていたシステムメーカーは数社しかなくて、ハウスメーカーにコンタクトをとってもらったら、太陽電池メーカーの営業の人が、とにかく行きます、とすぐ来てくれたんです。ところが、その太陽電池メーカーは、決めていたハウスメーカーの家にシステムをとりつけた経験がまだなかった。もちろん私は何もわからない。じゃあいっそのこと、経験のない者同士3人の共同事業と思ってやりますか(笑)、ということで始まったというのが本当のところです。今だったら、販売代理店が窓口なるのでしょうけど。システム面では、パネルが多結晶方式だったことも決め手になりました。

 

福田智哉さん。広島県出身・40歳。お仕事は病院の放射線技師。趣味は競馬、野菜作り、パソコン。
福田さん宅の太陽光パネル。発電量は3.48kw。南側の屋根全体に24枚のパネルが設置されている。(写真提供:福田さん)
左が買電ボックス。右が太陽光の売電ボックス。(写真提供:福田さん)

家を新築するときこそ、太陽光導入の大チャンス!

Q:システムの費用がいくらかかるかは、そのとき既にご存じでしたか?

福田:値段が高いということは聞いていましたが、実際いくらなのかは知りませんでした。メーカーから、3.5kwと4.3kw、2種類のシステム提案書をもらいまして、その中に補助金を引いた費用がいくらになると書いてあったので、それを見て初めて…。 結局3.5kwにしたので機器代は360万円。そこから補助金分を差し引いた金額が220万円くらいでした。

Q:新築費プラスそれだけの出費は大変じゃなかったですか?

福田:そうなんですが、ちょっとしたマジックがあって。つまり、家を建てた後でパネルをとりつけると、家の建築費にそのままシステム代が上乗せされますよね。でも、新築の場合は、同時にやるわけですから、家の造りや設備を少しづつケチれるというか、省くことが可能なんです。たとえばこの家には和室がないんですが、和室をやめるとそれだけで30〜40万浮くんです。出窓をやめるとマイナス10万とか。主に見栄えの部分ですよね。そうやって建築費の方を節約して、システム代にまわしていったんです。

Q:そうすると、実質的な機器代としては?

福田:建築費を60万円ほど節約したので、純粋な持ち出しとしては160万円。だから、新築は太陽光導入の大チャンスなんです。住宅メーカーさんには申し訳ないですが。(笑)あと、この周辺はプロパンだったので、それもやめようと。ガスを引くのもけっこうお金がかかりますし。だからウチは、オール電化です。

Q:新築工事とパネルの取り付け工事は同時進行だったんですか?

福田:その方が効率的なんです。家を建てるときには足場を組みますよね。その足場を使ってパネルを取り付けてもらいました。足場を2度組む手間やコストが省ける。こういうことも新築だからできたわけで。取り付け工事には太陽電池メーカーが直接来られたと思います。家を建てた98年当時は、施行まで請け負う代理店もまだ少なかったですから。

Q:太陽光発電を取り付けた家自体がまだ珍しかった頃ですね?

福田:ええ。だからTVや新聞が取材に来たり、遠くから見学に見えたり。わかる範囲で相談にのってあげたりもしました。あとはホームページ(『私の家のソーラー発電所』を立ち上げて、毎月の発電量や売電量などのデータを掲載していたんですが、そこにも大勢の人が来てくれました。卒論用に発電データを貸してほしいという学生さんも何人かいましたね。

Q:そのホームページですが、現在は更新されていませんが?

福田:当時は太陽光発電設置者自身からの情報発信というのがほとんどなくて、私のホームページもそれなりに役に立ったんだと思いますが、今は情報もずいぶん増えたので、私自身もう書くことがなくなったというか、このホームページの役割も終わったかなと。何か新しいテーマが見つかったら再開したいとは思っています。

トータルな経済性については、あと10年で答が出るでしょう。

Q:では、太陽光発電によって実際に光熱費は安くなりましたか?

福田:安くなりました。発電開始は98年。前に住んでいた家に比べて、光熱費が年間で約10万円安くなりました。家族構成は同じですが、家の広さは以前が24坪で、今が40坪弱。それでも光熱費は前より安くなっていますね。

Q:電力会社との契約種別は何にしていますか?

福田:中国電力には、ファミリータイムという電化住宅向けの料金メニューがあって、電気料金が時間帯ごとに細かく設定されているんです。深夜から朝8時までは安くて、お昼や夕方は高いとか。これをうまく利用しています。うちの場合は電気代の高い昼間は誰もいないので、高い電気を使うことが少ない。一方、昼間は太陽光がどんどん発電するので、その時に電気を売ります。そうすると、売電レートは1対1なので、高い値段で売電できる。この契約にしてから、電気代がさらに1割から1割5分くらい安くなりました。

Q:では、福田さんから見て、太陽光発電の経済性は高いといえますか?

福田:そこが難しいんですけど、最終的にシステムにかけたお金が返ってくるかどうか、ということだと思うんです。うちの場合は補助金をもらい、家のコストを落として、それでも160万円かかってます。年間に安くなる電気代が10万円。ということは元をとるのに16年かかる。これでもかなり短い方だとは思うのですが、じゃあ、このパネルが16年間ずっと今の調子で発電してくれるかというと、それは未知数じゃないですか。売電金額にしても上がればいいですが、下がるかもしれない。月々の電気代は確かに7、8千円安くなったので、毎月の家計にとっては大きなプラスですが、最終的にどうなのかと聞かれると、あと10年経たないとわからない、これが本音ですね。将来、もっと発電効率が良くなって、太陽光が10年で元がとれるシステムになったら、これはもう爆発的に普及すると思います。

Q:導入のきっかけとなった「エネルギーの自給」という面では、いかがですか?

福田:ラジオのニュースかなにかで、日本の電気の約33%は原子力発電に依存していると聞き、あっと思って計算してみたら、うちの太陽光発電依存率もちょうど33%くらいだったんです。だったら太陽光発電によるエネルギー自給をうまく利用すれば、原子力もそうですが、火力や水力も含めた発電所というものをこれ以上作らなくて済むんじゃないかと。もちろん、そこまで単純にいかないのはわかっていますが、そういう流れを作ることに関して、少しは役に立っているかな、という思いはありますね。

Q:最後に、いま太陽光発電の設置を検討している方々に何かおっしゃりたいことは?

福田:さっきも言いましたが、元をとるにはこれだけの年数がかかる、ということさえ理解していれば、付けて損はないですよ。動機は人それぞれでしょうけど、付けたいと思っていて、費用が出せるのなら、マイナスのことは何もない、と私は思います。これから新築される方は迷わず付けるべき。大チャンスなんですから。取り付けてしばらくは、私もそうでしたが、毎日の発電量を見るのが楽しくて日課になりますよ。
あと、売電したお金というのは電力会社から振り込まれてくるんですが、うちではその口座を家計用とは別に設けているんです。放っておくと年間6〜7万円たまるから、3年で約20万円。これだけあれば家族で旅行に行けますよね。口座がいっしょだと知らないうちにつかってしまう。だから売電の振り込みは別口座にする。これは、おすすめです。(笑)

福田さん宅の「パワーコンディショナー」(インバータ)。太陽電池で発生した直流電流を交流電流に変換し系統に流す装置。発電量も見ることができる。7年前のシステムなのでかなり大きい。
福田さんのホームページ『私の家のソーラー発電所』。毎月の発電量や売電量など貴重なデータが掲載されていて、開設当初は導入を考える人からのアクセスや質問の書き込みが殺到した。

福田さん宅の設置機器について
◇メーカー名:京セラ株式会社
◇システム容量:3.48kW
◇モジュールの種類、枚数:多結晶、24枚
◇屋根タイプ:切妻屋根


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