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導入事例《自治体関連》
町営風力発電所(高知県・檮原町)
風力発電により確保した3500万円の財源を、太陽光などの導入に再投資。新エネルギーによる循環型町づくりを目指す。
■活動テーマ 新エネルギーの導入による地球温暖化防止への貢献と循環型の町づくり
■主な活動 平成11年10月、標高1300mの四国カルストに町営の「梼原風力発電所」を建設。全国でも最も高地にある風車として知られる。風力の売電で得た収益を太陽光発電他の推進に充てることでいっそうの新エネルギー導入をはかっている。
■実施場所 高知県梼原町太田戸119-1(四国カルスト)
■連絡先 高知県梼原町 企画調整課
Tel : 0889-65-1111
Fax : 0889-40-2010
E-mail:KIKAKU@town.yusuhara.kochi.jp
■ホームページ http://www.town.yusuhara.kochi.jp/
●インタビュー協力: 高知県梼原町町長 中越武義さん
(本文中では敬称を略させていただきました)
高知県梼原町
中越武義町長

自然から得たエネルギーなのだから、自然を守るために還元する

Q:梼原町では、風力をはじめ太陽光、地熱、小水力など様々な新エネルギーを積極的に導入・活用されていますが、そのきっかけは何だったのですか?

中越:梼原は人口4800人ほどの小さな町ですが、それでも学校、病院など色々な施設をまかなっていくためには、たくさんのエネルギーと多額のコストを必要とします。これを効率化し、低減するにはどうすればいいか、ということがまず課題としてありました。もうひとつ、四万十川の源流にあたる町内の梼原川には、灌漑と水力発電を兼ねた3つのダムが設置されています。ところが近年水量が減ったため、下流域に十分な水の供給がなされないという実態がありました。四万十川の源流に位置する梼原町として何かできることはないか、これがもうひとつのきっかけとなり、新エネルギー、自然エネルギーを導入してみようじゃないか、という結論にたどりついたわけです。

標高1300m、四国カルストに建つ梼原町風力発電所の2基の風車

Q:新エネルギーの中でも風力発電を導入した理由は?

中越:やはり条件に恵まれていたことがいちばんですね。まず、風況が良いこと。1年かけて風況調査を行いました。風車は、風速およそ3mから発電をはじめることができるのですが、梼原では年平均風速が7.2mあり、これは北海道の苫前町などに次ぐ風況の良さといわれています。次に、建設予定地に道がついていたこと。これは放牧用の牧道として整備されたものなのですが、道路建設からはじめるとなると莫大な費用がかかってしまいます。このような山間部の場合は特に、巨大な機器や資材を運搬可能な道路があるかどうかが重要になります。あとは送電線です。送電設備が近くにあることが望ましいのですが、その設備がなかったので、四国電力に設置していただき、その事業費分を負担しました。風力で発電した電力は四国電力に買っていただいています。その収益が年間3500万円前後あります。

Q:その収益はどのように活用しているのですか?

中越:ひとつは「水」を作る山や森林の保全に充てています。森林の間伐に対し1ha当たり10万円を森林整備交付金として支出し、風力から得た収益を山に還元して水を作る。そのことが今度は小水力発電導入につながり、さらに四万十川を守ることへとつながっていく。もうひとつは、自然から得た財源なのだから、やはり自然エネルギー導入を通してみなさんに還元したい、という発想から、太陽光発電を導入したいご家庭への助成を行っています。(助成額:20万円/kw。上限4kw=80万円 )また、地熱を利用した温水プールを建設するなど、自然エネルギーを活用した循環型の町づくりを目指しています。売電で得た財源のこうした使い方が、梼原の特徴といえるのではないでしょうか。

発電所の電光掲示板には、現在の風力と発電出力が表示される。

新エネルギー導入で、住民の意識が変わってきた

Q:風力発電所建設についての具体的なお話しを聞かせてください。

中越:風車はデンマーク製(ミーコン社)で600kwのものを2基設置しました。1基建てるのに約1億4000万円かかりましたが、現在はもっと安く、おそらく1億弱でできるのではないでしょうか。風車自体も国産の製品の性能がずいぶん良くなってきたと聞いています。輸入品はどうしても部品調達に時間がかかりますから、メンテナンスを考えると、これからは国産がいいかもしれませんね。メンテナンスといえば、日本は海外に比べて、落雷による風車の被害がとても多いのです。実際一昨年にも落雷があってブレード(風車の羽根)に亀裂が入り、大がかりな修繕を行いました。保険で対応できるのですが、本体価格から比べて、修繕費が非常に高価に感じましたね。事故にせよ故障にせよ、風車が止まるということは、その間の発電ができないわけで、収入の面でも大きな痛手となります。

Q:売電交渉は直接電力会社(四国電力)と行ったのですか?

中越:そうです。平成11年から15年間は11.5円の売電単価で契約を結びました。ただ、次の更新時にはおそらく7〜8円に下がるだろうと思っていますので、それまでに新たな風車の建設や太陽光やミニ水力発電への再投資などを行い、さらに効率的な新エネルギーの活用基盤を確立しておきたいと考えています。

Q:風車建設にあたって住民や近隣地域との調整はどのように進められたのですか?

中越:住民に関してはほとんどの人が賛同してくれました。実は先般、環境アセスメントとして、周辺の景観への影響や、渡り鳥をはじめとする動植物の生態系を含めた環境への影響、また、音の問題など、様々な角度から調査を行ったのですが、その一貫として、風車の近隣に住む人も含めてアンケートを行ったところ、「今後も風車建設を推進すべき」という回答が90%以上を占めていました。風車は梼原町の、そして環境のシンボルとして住民から支持され、親しまれていると認識しています。近隣の町村や他県との調整についても、隣接する愛媛県は非常に厳しい環境基準を持っている県なのですが、現在の風力発電設置は比較的スムースに運びました。しかし次期建設にあたっては、近隣地域における調査や調整はもちろん、より広域的な、そして県レベルでの調整が必要になってくると思います。

Q:経済面以外で、新エネルギー導入は、町に何をもたらしましたか?

中越:梼原という町を知ってもらい、ここに来てもらうために、風車という非常にわかりやすいシンボルが生まれたこと。また、住民にとっても、自分の町のこうした自然循環型の町の姿をもっと多くの人に知ってもらいたい、見に来てもらいたいという、町ぐるみの活動意識が育ってきたように思います。
 一方で、太陽光発電を導入した家庭では、毎月の発電量などを通してエネルギーへの関心が高まるためか、「自然と節電を行うようになった」という声も聞いています。環境や新エネルギーへの意識を高めるには、実際に導入し、使ってみることによる効果が大きい、と感じました。また、太陽光発電の導入で住居の電化が進んだこと。町には高齢者が多いので、熱源に火を使わなくなったことが安全や火災防止にも役立っていると思います。
 ただ、太陽光発電システムの購入については、町が助成するにしても、機器や業者の選択は導入者本人が行うので、同じ発電規模の設備を購入・設置する場合でも、メーカー・機種などの選定や業者の対応、また本人の交渉具合等によって、トータル金額に何十万円もの差が生じるケースがあります。仕方のないことかも知れませんが、町としては、同額を助成しているのに個別の設備金額に極端な差が出るのは住民の方に申し訳ない。何かうまい解決策がないものかと考えています。

  風車の周辺は、放牧地帯として利用されている。
四万十川に合流する梼原川にかかる総木造りの美しい橋。梼原は林業の町としても知られ、林業 面積は、町の総面積の91%を占める。

理想は新エネルギーによる自給自足

Q:今後はこうした町ぐるみの新エネルギー活動をどのように展開させていく計画ですか?

中越:現在も、体育館の電気を太陽光でまかなうため、小学校の屋根に太陽光パネルを取り付ける工事を行っています。また今後は、地震など災害時の対策につながるという意味から、小水力発電による街灯の設置をいっそう推進したいと考えています。そして理想は自然エネルギーによる自給自足です。単純計算ですが、現在の稼働率から割り出して風車2基でおよそ1000戸分の電気がまかなえる。梼原全体は約1800戸だから、町の施設を合わせても、あと5、6基の風車があれば実現可能ということになります。現実的には、エネルギー事業者の系統との関連、送電設備負担、電力の安定供給の問題などがあるので、なかなか難しいことなのですが。ただ、電力事業の自由競争が徐々に本格化してきており、この春から500キロワットだった自由化範囲が50キロワットに拡大される見込みなので、梼原町にある1800戸の住居をひとつのエネルギー特区として認めてもらう働きかけを国に対して行おうと思っています。

Q:最後に、これから新エネルギーに取り組んでみようと考える地方自治体・町村に対してメッセージをお願いします。

中越:環境対応の面から考えても、今後は大規模な火力、水力あるいは原子力といった発電設備の建設は難しくなると思います。また、地方の町村の財政というものも今後いっそう厳しくなると予想されます。こうした意味から、地域が新エネルギー導入に取り組むことは、地域の環境にとっても、また、貴重な財源が確保できるという点でも、大きな価値があると思います。これを成功させるためには、地域が持っている活用可能な資源をしっかり調査し、その上で最も安価に、有利に、効率的に導入できる新エネルギーは何かということをじっくり検討する。これに尽きると思います。そして関連する省庁や普及促進団体に対しては、こうした地域の取り組みに応えるためにも、様々な補助や利用できる制度を、機会あるごとに、わかりやすく、しっかりと情報発信してくれるよう望みます。

小学校の屋根に設置工事中の太陽光パネル。隣に建設される体育館の電気はこの太陽光発電でまかなう計画。

■梼原町風力発電所概要(梼原町風力発電所概要より)
設置場所 : 高知県梼原町太田戸119-1(四国カルスト・標高1,300m)
機  種 : NEG ミーコン社 600W×2台
風況調査 : 観測期間 平成8年11月〜平成9年10月(フィールドテスト事業)        
平均風速7.2m(地上高20mの実測値)
配電線工事: 15km
買電単価 : 11.5円(四国電力)
補助事業名: 地域新エネルギー等導入促進対策費
補 助 率: 1/2以内
総事業費 : 約444,965千円
風車建設費  309,645千円(補助金 154,822千円 50.0%)
電力負担金  135,320千円(補助金  29,130千円 21.5%)
補 助 金  183,952千円(補助金合計 41.3%)
施工業者 : 株式会社 荏原製作所四国支店
発生電力量(※電気料金=発生電力量×11.5円×1.05)
11年度 発生電力量 1,250,630kwh 電気料金 15,101,354(6ヶ月間)
12年度 発生電力量 3,169,070kwh 電気料金 38,266,515
13年度 発生電力量 3,384,880kwh 電気料金 40,872,421
14年度 発生電力量 3,221,100kwh 電気料金 38,894,779
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