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目次
1.せたな町とは
2.新エネルギーへの取り組み
3.Back stage Interview
新エネルギーという大きなチャンスを活かしたい
せたな町瀬棚総合支所 産業振興課長 堂端重雄氏
せたな町瀬棚総合支所 産業振興係長 神田 昌氏
4.主な施設の概要
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1.せたな町とは
せたな町は、北海道の南西部に位置する町で、2005年9月1日に檜山北部3町の瀬棚町・北檜山町・大成町が合併し、誕生しました。人口は1万977人、面積は638.56平方km(2005年12月末現在)。道南の中心都市である函館市までは約120H、札幌市までは約200kmの距離にあり、夏季には奥尻島へのフェリーも運航され1時間半で島へ渡れます。
日本海に面する町の気候は、北上する対馬海流の影響を受けて比較的温暖ですが、冬は北西の季節風が非常に強く、また夏は「やませ」と呼ばれる東風が強く吹きつける、道内有数の強風地帯。特に農作物の生育が阻む「やませ」は、長い間、農家からやっかいものとして疎まれてきました。
基幹産業は漁業、農業、酪農などの第1次産業。なかでも稲作はアイガモを水田に放って除草や害虫駆除を行う合鴨農法を取り入れており、近海環境の保全、安全な食材の提供などを通して循環型の社会を目指すとともに、地酒など地元の名産品づくりにも役立っています。
また、奇岩や怪岩、断崖絶壁が多く変化に富んだ海岸線、日本一高い灯台として知られる茂津多(もった)岬灯台、清流日本一にも選ばれた後志利別川(しりべしとしべつかわ)、狩場茂津多道立自然公園など名所スポットも多く、観光地として知られています。
近年では、1989〜1992年にかけて一人当たりの老人医療費が全国ワースト1位を記録した旧・瀬棚町が、予防医療や在宅医療に力を入れ、91年度に一人当たり143万円だった老人医療費を、2002年度には半分の72万円まで抑制させることに成功。その画期的な取り組みは、全国の自治体関係者の注目を集めました。
2.新エネルギーへの取り組み
- 1985年
- 瀬棚港が運輸省(現・国土交通省)のマリンタウンプロジェクトのケーススタディー第1号として指定を受ける
- 1998年
- 瀬棚港マリンタウンプロジェクト検討委員会で洋上風車について協議を行う
- 新エネルギー・ローカルエネルギー導入促進のための初歩的調査を実施
- 1999年
- 瀬棚港東外防波堤で洋上風況調査を開始
- 旧・瀬棚町にて地域新エネルギービジョンの計画策定を開始
- 2000年
- 自然エネルギーフォーラムインせたな「洋上風車と海洋深層水構想」を開催
- 旧・瀬棚町にて地域新エネルギービジョンの「洋上風車建設事業化調査」委員会を開催
- 瀬棚マリンタウン風力発電所が営業運転を開始
- 2001年
- 洋上風車の環境調査を実施
- 2003年
- 洋上風力発電所の試験運転を開始
- 洋上風車の名称の一般公募が行われ、767件の応募のなかから「風海鳥(かざみどり)」が選ばれる
- 2004年
- 洋上風力発電所が営業運転を開始
- 洋上風力発電所への取り組みにより新エネルギー大賞財団会長賞を受賞
- 2005年
- 瀬棚臨海風力発電所が営業運転を開始
3.Back Stage Interview
新エネルギーという大きなチャンスをいかしたい
せたな町瀬棚総合支所 産業振興課長 堂端重雄氏
せたな町瀬棚総合支所 産業振興係長 神田 昌氏
●マリンタウンプロジェクトから始まった新ビジョン
旧・瀬棚町で洋上風力発電所が計画されることになったそもそものきっかけは運輸省(現・国土交通省)のマリンタウンプロジェクトでした。1985年に運輸省港湾局からケーススタディ港の全国第1号に指定され、21世紀を展望し、多目的な港湾空間を創造する方向で検討を行っていました。
当初の計画は、多目的防波堤を構築し、静穏海域を増養殖漁業に活用したり、海洋レクリエーション基地として様々な整備をして陸域の観光レジャーの活性化につなげようというものでしたが、バブル崩壊などの諸事情から再検討が必要となり、そのなかで防波堤付近に洋上風車を建設する計画が持ち上がったのです。
ちょうどこの時期、京都議定書の採決があったり、エコ・パワー株式会社から陸域で風力発電をやりたいというお話もいただいていました。そこで私たちも1999年7月から1年間かけて風況調査を行い、シュミレーションを作成してみました。当時、北海道電力の売電単価は固定だったので、予想発電量から売電収益を割り出し、そこから建設費の返済金を差し引いても、まずまずの利益が見込める。それならやろうと。
ところが、2000年11月に北海道電力が電力系統の安定維持を理由に、風力発電の受け入れ枠を15万kWと定め新規買取契約をクローズしてしまい、その技術検証が終了して受け入れ再開の見通しが立つまでは待つしかない。そこで翌1年間でもう一度環境調査を行い、売電単価が変わった場合の採算性なども見直した上で、建設に踏み切りました。
こうして2004年4月に日本で最初の洋上発電所「風海鳥」を稼動させたのですが、実はこの2年間は風が落ちているんです。風況調査では平均風速は7.9mあったのに、この2年間は7.6〜7.5m。そのため、長期計画では当初年間3000万円ぐらいを見込んでいた純利益が、実際は1000万円ぐらいにしかなっていません。
私たちは5〜6年もかけて風況調査を行い、しっかり計画を立ててやってきたのでそれほど心配はしていませんが、それでもこうしたズレが生じることがあるんですね。農家の方は農作物がいいと喜んでおられますが、アチラが立てばコチラが立たずといった状況です(笑)。
●洋上風力発電のネックとなる法規制
洋上の風力発電は、調整の仕方が陸地とは異なります。たとえば法規制。陸地もいろいろありますが、海も大変なもの。港湾法、港則法、海岸法、国有財産法、航空法、海上交通安全法、これに加え漁業権の問題もあります。
「風海鳥」の場合、もともと漁業権を放棄してもらっている港湾区域に建てたので、漁業権の問題は発生しませんでしたが、港湾法と港則法については海上保安庁との協議が必要でした。なにぶん前例がないので、海上保安庁はなかなか良い返事をくれません。ところが、北海道の場合、港湾の管理者は市町村長(本州の場合は知事)になっていて、その管理者である町長が進めている事業なのだから問題ないということに落ち着きました。
このように、旧・瀬棚町はたまたま環境が整っていたからできましたが、今日までに第2の洋上風力発電ができていない理由は、そうしたところにあるのだと思います。国が本気で風力発電を推進するのなら、法律を変えるスタンスを取らなければ難しいのではないでしょうか。
また、これは洋上ではありませんが、昨年秋に本格稼動した瀬棚臨海風力発電所では、影の問題が出てきました。この風力発電所には6基の風車があり、最も市街地に近い1基は民家から200mほどの距離にあります。あらかじめ騒音などの問題は予測できたので、住民の方に説明し快く了承をいただいていたのですが、実際に動かしたら、回転する羽の影で数時間翳ってしまうお宅があると。まだ稼動したばかりなのではっきりは言えませんが、どうやら夏から秋の午後の2時間は影の影響が出てしまうようです。
瀬棚臨海風力発電所を運営企業はJパワー(電源開発株式会社)の100%子会社であり、そうしたノウハウは豊富に持っておられるのですが、通常、風車は山頂など市街地から離れた場所にあることが多いので、これまでこうした事案はなかったのです。この問題は、該当する時間帯に限り原因となる風車を止めてもらうことで解決しましたが、予想外の問題の発生で私たちも大変驚きました。
●新エネルギーで企業誘致を
現在、せたな町には3つの風力発電所に10基の風車がありますが、「風海鳥」以外は民間企業の運営です。「風海鳥」では、洋上の前例がなかったため、町が事前にしっかり調査をした上で、NEDOの補助金などを活用しながら運営していますが、事業としてある程度確立できることが分かっていれば、民間企業に運営してもらい、自治体はそれを支援するというスタイルがベストだと思います。
瀬棚臨海風力発電所も、次の風力発電は民間企業にお願いしたいという話をしていたところへJパワーさんが手を上げてくれたカタチで始まりました。バブルが崩壊したこの時代に企業誘致なんて望めませんが、これも一つの企業誘致です。これにより税収が見込めるのだから、自治体にとって大きなプラスであることは間違いありません。
そうした考えもあって、旧・瀬棚町では、風車の設置場所の相談にのったり、諸手続きを手伝ったり、近隣住民への説明などに職員が同行するなど、できる範囲で企業の応援をしてきました。また「風海鳥」と瀬棚臨海風力発電所は風車メーカーが同じなので、メンテナンスなどは互いに協力して行っています。ただ、これにはプロパー的な職員が必要で、自治体長の理解が必要かもしれません。
試験事業はリスクをもって自治体が行い、その実績をもとに民間企業を誘致する。これは風力だけでなく、ほかの新エネルギーにも言えることです。自然エネルギーのテーマで、企業がここで研究もできるし事業もできる、そうした仕組みができたらいいですね。せたな町は合併したばかりの新しい町で、まだまだそうした取り組みは難しいですが、新しいビジネスのなかでチャンスは大きく膨らんでいると思います。
4.主な施設の概要
せたな町洋上風車「風海鳥(かざみどり)」(1200kW)[運営:せたな町]
国内で初めて建設された本格的な洋上風力発電施設。1998年度に計画されて以来、6年の歳月を経て、2004年4月に本格稼動が開始された。瀬棚港東外防波堤の沖合い700mに設置された2基の風車は、高さ40.3m、翼の直径は47m。出力は1基600kWで、2基合わせての年間発電量は約4200MWh。これは一般家庭約1000世帯分の年間消費量に相当する。
洋上風車で発電した電力は全長約1200mの海底ケーブルを使って岸まで送電される。このケーブルには直径78mmの鉄線補強入りの架橋ポリエチレン被覆ケーブルを使用し、ブイ浮上方式で布設した後、水深11mの海底砂中に埋設されている。基礎部分はアワビやウニのエサとなるコンブを養殖施設とするなど、漁業との協調の役割も果たしている。建設費は6億9000万円(NEDOが45%補助)。
瀬棚マリンタウン風力発電所(1200kW)[運営:(株)エコ・パワー]
洋上風車「風海鳥」を目前に望む国道229号線沿いにて稼動している風力発電施設。運転開始は2000年10月で、せたな町(旧・瀬棚町)に設置された最初の風車でもある。2基の高さは37mで、翼の直径は45m、出力は1基600kW。
瀬棚臨海風力発電所(1万2000kW)[運営:(株)グリーンパワー瀬棚]
瀬棚区の臨海にて2005年12月に運転を開始した日本最大級の風力発電施設。運営する(株)グリーンパワー瀬棚は、電源開発(株)の100%子会社。6基の風車の出力はそれぞれ2000kWで、単機出力2000kWの風力発電機は北海道では初めて。風車に風の急激な変化に対応できる制御機構を採用していることも特徴の一つとなっている。
年間発電量は一般家庭約1万世帯分の年間消費電力量に相当する約3500万kWh。これによるCO2削減量は約2.5万トンで、乗用車約3万台分の年間排出CO2量に相当する。
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