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目次

1.フェリス女学院大学とは
2.エコキャンパスへの取り組み
3.Back stage Interview
 自然の恵みを実感することが、環境問題への関心への第一歩
 フェリス女学院大学
 学長・農学博士 本間 慎氏
 助教授・農学博士 佐藤 輝氏
4.エコキャンパス研究会
5.主な施設の概要

1.フェリス女学院大学とは

 フェリス女学院は、1870(明治3)年、アメリカの女性宣教師メアリー・E.キダーが横浜のヘボン診療所内で授業を開始したことを発祥とする、国内で最初にできた女子学校。校名の「フェリス」は、創立を援助・支援したアメリカ改革派教会 外国伝道局総主事フェリス父子によるもので、創立から130年余りたった今日まで「For Others(他者のために・他者とともに)」という建学の精神をもとに、広い視点で社会貢献できる自立した女性の育成を目指し、教育・研究を展開しています。

 学部構成は、文学部、国際交流学部、音楽学部の3学部。学生数は約2600人。多くの専門科目について、他学部・他学科の学生でも自由に履修できる「開放科目」とするなど、小規模な大学だからこそ可能な学習環境を実施。語学や音楽の授業、ゼミでも少人数体制を維持し、教員による行き届いた指導を実現するとともに、自身の考えを人前ではっきり発言できる、「発信能力」を豊かに備えた人間形成にも力を発揮しています。

 現在、文学部と国際交流学部、音楽学部は横浜市泉区の緑園に、音楽学部の一部は本学院の中学・高校とともに横浜市中区山手の丘の上にキャンパスを構えていますが、特に緑園キャンパスでは、エコキャンパスへの取り組みを積極的に進め、注目を集めています。


2.エコキャンパスへの取り組み
1988年
横浜市泉区に緑園キャンパスを開設
2001年
「緑園キャンパスの施設拡充にあたり、校舎の一部や図書館の屋上を緑化したほか、屋上に降った雨水をトイレ用水などに利用するシステムを採用
2002年
ガーデニングにて「Ferris」の花文字をつくる
学生有志が「エコキャンパス研究会」を設立
2003年
緑園キャンパス敷地内にビオトープが完成
2004年
「エコタウンかながわ2004」に大学として唯一参加
「全国大学生環境活動コンテスト」に女子大として唯一参加し入賞
2005年
緑園キャンパスに風力発電を設置。1888(明治21)年、井戸水汲み上げのために校内に設置された「赤い風車」が再現される
エコ体育館完成
「かながわ新エネルギー賞」受賞
「横浜環境保全活動賞」受賞
2006年
12月9日にみなとみらい21にて「環境国際シンポジウム」を開催予定

3.Back Stage Interview

自然の恵みを実感することが、環境問題への関心への第一歩
フェリス女学院大学 学長・農学博士  本間 慎氏
助教授・農学博士 佐藤 輝氏

●文系女子大だからこそ環境教育が必要

学長・農学博士 本間 慎氏
 フェリスは文系の女子大なのに、なぜそんなに環境問題にこだわるのかとよく尋ねられます。しかし、環境問題は今や、平和問題や軍縮問題、民族問題などに並ぶ、国際的重要課題の一つであり、文系・理系を問わず、21世紀を生きる人間としては、避けて通れない問題になっています。そして、特に女性の場合は、生命を宿す性でもある。子供を産む時には、自分の健康がダイレクトに、胎内で育つ新しい生命に影響を与えます。胎児にとっては母体が唯一の「環境」であり、もし有害物質などで汚染されていたら次世代に、場合によっては3世代、4世代先まで影響を及ぼす可能性もあります。

助教授・農学博士 佐藤 輝氏
 それなのに、文系の大学では環境問題について真剣に考えたり、仲間と話し合う機会がほとんどありません。だからこそ本学では、環境教育を重視し、その一環としてエコキャンパス化を進めているのです。
 現代では、強い風が吹いたり、雨が降ったり、太陽が照りつけるのもイヤなこと、煩わしいことと考えがちですが、風力発電や太陽光発電により電気がつくられ、雨水が溜まってトイレ用水や屋根散水に使う様子を目にすれば、自然の力のありがたさを感じるはず。大学生活の中でこうした自然の恵みを身近に感じ、自然との共存について考えられる場を提供することで、学生たちには、言葉や理屈だけでは伝わらない理念や感性も伝わるのではないかと考えています。

●始まりは生ゴミの有効活用

 環境教育を行うには、いろいろな種類のエコ施設があった方がいい。だから緑園キャンパスには、太陽光発電や風力発電機をはじめ、クール(ヒート)チューブや壁面緑化、屋上ビオトープなど、様々なものを取り入れています。まだまだ不十分ですが、佐竹前学長のリーダシップもあって、ここまでのものができました。

 こうしたエコキャンパスに向けての、最初の取り組みになるのが、生ゴミを利用した有機肥料づくりです。学生食堂からは1日25kg程度の生ゴミが出るので、これを学内に設置したコンポストで乾燥させ堆肥の原料にしようと考えたのです。

 ところが、野菜くずなどが多い生ゴミではタンパク源が少ないため窒素含有量が足りず、半面、塩分や油分が多いため、そのままでは農家の方々に受け入れてもらえません。そこで、乾燥した肥料原料を肥料会社に送った際、牛糞や鶏糞、木屑や木皮を混ぜてもらって、窒素を増やし、塩分を下げることにしました。そうしてできあがったのが「Ferris 300」という製品です。消臭効果もある非常に便利な有機肥料ですが、本学ではエコキャンパスの取材や見学などにいらした方にプレゼントしています。肥料会社では、これを販売しているそうです。

 実は、エコキャンパス研究会の学生を連れて、その肥料会社へ行ってきたのですが、その会社の社長さんは、今どきの女子学生は堆肥の臭いなど嗅いだらすぐに逃げ出すだろうと考えておられたようなんですね。しかし、うちの学生たちは、肥料を手にとって「いいにおい」などと言って喜んでいた。社長さんは大感激して、帰りに美味しいお蕎麦を全員にご馳走してくれました(笑)。

●環境国際シンポジウムを開催

 本学は何事も学生中心です。入学式や卒業式の司会も学生がやっていますし、緑園キャンパス内にビオトープをつくることになった時にも、その計画段階から学生たちが参加していました。これは厳密にいうと、学生と教員、そして清水建設の技術屋スタッフの皆さんとの共同作業になるわけですが、測量から完成予定模型の制作までのすべてを学生が担当しましたし、土木工事でも自分たちでスコップを持って池などを掘っていましたよ。

 昨年12月には緑園キャンパスのキダーホールにおいて「地球温暖化は私たちに何をもたらすか」という公開シンポジウムを開催しましたが、ここでも、ご専門の先生方の講演にまざり、エコキャンパス研究会の学生たちが発言の時間を持ちました。

 また、今年の12月9日には横浜みなとみらい21にて「環境国際シンポジウム」を開催する予定です。地球温暖化の影響で海水面下に没すると危惧されているツバルやキリバスの方や、温暖化問題の第一人者たちを招待する計画ですが、そこでも、うちの学生たちが開催の準備や当日の発表で参加する予定です。
 やはり、こうしたことのすべては積み重ね。私たちも生ゴミの有効活用から少しずつ始めたのですから。でも、本学の取り組みもまだまだ十分なものではありません。今後も様々な切り口で環境教育に取り組んでいきたいですね。


4.エコキャンパス研究会

 大学内でエコ活動の中心的役割を果たしているのが「エコキャンパス研究会」。2002年に学生有志が集まり結成されたこの研究会は、現在も学部生と大学院生を合わせて30名近い部員が、足元からの環境保全を考え精力的な活動を展開しています。

 緑園キャンパスの一角にある100平方メートルものビオトープの管理・維持も彼女達の担当。草取りや水路整備をはじめ、植物や昆虫などの生態調査も実施し、その調査結果もパネルに分かりやすくまとめ、エコキャンパス見学者の目を楽しませています。

 毎年夏休みには、地域の親子の参加を募って、自然の恵みを実感する「体験型ワークショップ」を開催。ソーラー・クッカー(太陽熱調理器)やミニミニ風力発電機の工作など、楽しい体験をしながら、自然環境やエネルギー資源の大切さを学べる場を提供しています。参加者の中にはリピーターもいて、地域行事としても定着し始めているようです。

 そのほかにも、地元の小学校や高校に出張講座に出掛けたり、エコイベントでの発表など、学外活動にも積極的に取り組んでいるエコキャンパス研究会。こうした取り組みが評価され、2004年12月の「全国大学生環境活動コンテスト」では、女子大として唯一の参加ながらも、参加62団体中ベスト14に入賞。今後もさらなる活躍が期待されています。



5.主な施設の概要

太陽光発電・太陽熱温水器・屋上ビオトーブ
体育館に隣接するクラブ部室棟の屋上には、6.43kW規模の太陽光発電機を設置したほか、真空貯湯型(80リットル)の太陽熱温水器も4基取り付けられ、体育館のシャワー温水などに利用されている。
また、屋上ビオトーブも整備し、学院の創立者であるメアリー・E.キダー氏の故郷の花であるムラサキツメクサなどを植栽。学生たちの憩いの場にもなっている。

屋根散水
雨水の利用のために地下に80トンの雨水タンクを設置。夏場にはこの雨水を利用し、太陽に焼かれた体育館の屋根に散水。気化熱を利用して屋根を冷却し、室内の温度上昇を抑えている。

壁面緑化
西日が強く当たる部室棟の西側の壁にツタをはわせて緑化。日射を遮ることにより、空調負荷の低減が期待されている。

クール(ヒート)チューブ
地中の温度は四季を通じて変化が小さいため、この性質を利用して地中にクールチューブダクトを埋蔵。吸気口から入った外気は、チューブの中で熱交換(夏は冷え、冬は温まる)した後、体育館内に吹き出され、冷暖房の空調負荷の削減に効果を発揮している。

屋上緑化
7号館と図書館の屋上には、セダム(別名:マンネングサ)を植栽し、その周りをウッドデッキで囲み、断熱性能の向上と日射による屋上コンクリートの温度上昇の抑制を実現したほか、開放的なスペースは学生および野鳥たちの憩いの場にもなっている。

風力発電
2.5kW規模の風力発電は、エコキャンパスのシンボル的存在。設立初期である1888(明治21)年に、井戸水を汲み上げるために設置された赤い羽根の風車が「赤い風車のフェリス」という愛称のもとになったことにちなみ、羽根は赤色。緑園都市駅からも見ることができるため、今後、地域のランドマークとなることが期待されている。
 
 


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