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導入事例 《企業関連》


目次

1.町村農場とは
2.新エネルギーへの取り組み
3.Back stage Interview
 近隣と共生するために
 それがバイオプラント導入のきっかけだった
 有限会社町村農場 代表取締役 町村 均氏
4.施設の概要

1.町村農場とは

 町村農場は、1917(大正6)年、北海道酪農のパイオニアとして知られる町村敬貴氏が創業した酪農専業農場。札幌農業学校卒業後アメリカ・ウィスコンシン州へ渡り、10年間牧場で働きながら豊富な酪農知識を身につけた敬貴氏は、帰国後、今の石狩市樽川地区で「飼料の主体を自給牧草におく酪農法」の実現を目指しましたが、土地の状況や厳しい気候などの理由から、1927(昭和2)年に農場を江別市対雁に移転。新たな地も荒廃地ではありましたが、努力の末に土地改良を成功させ、また乳量の多いホルスタインの導入と品種改良にも力を尽くし、近代的な酪農畜産を確立させました。彼が生涯のテーマとした「土づくり 草づくり 牛づくり」という考え方は、現在多くの酪農家が唱えるところとなっています。

 その後、町村農場は、二代目・末吉氏、三代目・均氏へと引き継がれ、農場も1992(平成4)年に、江別の都市化に伴い同市の基幹農業地域である篠津地区へ移転。現在、165haの耕地面積に380頭(内搾乳牛190頭)の乳牛を飼育して、良質で安全な乳製品をつくり続けています。


2.新エネルギーへの取り組み
1992年
農場移転に伴い、飼養形式を繋ぎ飼い式からフリーストール式に、糞尿処理方法を堆肥処理から液肥(スラリー)に変更する
1999年
プラント販売会社よりバイオガスプラントの導入提案を受ける
2000年
バイオガスプラントの稼動開始
2004年
日本自然エネルギー株式会社のグリーン電力証書システムにおいて、バイオマスでは初の発電事業者になる

3.Back Stage Interview

近隣と共生するために
それがバイオプラント導入のきっかけだった
有限会社町村農場 代表取締役 町村 均氏

●悪臭問題の解決策を求めて

 私がバイオガスプラントを導入した一番のポイントは“臭い”です。町村農場は1992(平成4)年、それまでの江別市対雁から同市内の篠津地区へ移転しましたが、この際、飼養形態をつなぎ飼い式から、牛が牛舎内を自由に動き回れるフリーストール式へ変更しました。また飼養形態が変わると牛の糞尿の性質も変わることもあり、糞尿の処理方法についても、藁と一緒に積み上げる従来の堆積方式から、糞と尿が混ざったままの液状でタンクに格納する液肥(スラリー)に変えたのです。

 スラリーは糞尿の貯蔵が簡単で、肥料として畑へ散布する際にも手間がかからない優れた処理法ですが、問題は臭い。それまでの堆肥と比べて、とても臭いんです。畑にまくとその臭いが数日間残ることもあって、移転1年目にして周囲から苦情が寄せられました。こちらも臭いを消す方法をいろいろ試してみたけれどうまくいかない。化学処理も考えたけれど、一酪農家にできるものではないし、微生物資材を投入する方法は再現性が低い。途方に暮れていた頃、プラントメーカーから国内導入第1号として、バイオガスプラントを入れてみないかという提案があったのです。

 話を聞いてみるとスラリーの臭いが落ちるという。そこでドイツへ行き、実際に同じプラントを導入している牧場を回ってみました。すると確かに臭いが落ちている。まったく臭わないわけではないですが、かなり軽減されていて、これならと導入を決めました。おかげで臭いの問題をほぼ解決でき、精神的に随分楽になりました。私にとっては発電量うんぬんよりも、そちらのメリットが大きいです。

 酪農家にとって糞尿はますますウエイトを占めていく問題。「家畜排せつ物の適正処理法」では堆肥盤を作り屋根を付けないといけなくなりましたが、ある程度の規模の農家ならその施設を作るだけで何千万、さらに自動攪拌装置も付ければ億のお金がかかります。補助金が付く・付かないといった問題もあるかもしれませんが、同じぐらい費用が掛かるのなら、肥料づくりの途中でエネルギーを回収できるバイオガスの方がうちの経営には適していましたね。

●年間約600万円の節約に成功

 私の場合、バイオガスプラントを糞尿処理施設と考えているので、必ずしも元を取る必要はないと思っていますが、それでも電気代は月30〜40万ぐらいの節約になっていますし、肥料代の部分では年間200万ぐらいの節約になる。合わせれば年間600万円ぐらい節約できている計算になります。また収入ということでは、日本自然エネルギー株式会社のグリーン電力証書システムの発電事業者として登録されているので、そちらでも年間80万円ぐらいいただけます。

 手間はそれほどかかりません。私もチェックするのは1日1〜2回。毎朝、始業前に機械が動いているかを確認して、前日の総出力、稼働時間、ガスの使用量とかをモニターしています。時間にして4、5分ですよね。異常がなければそのまま仕事を始め、その日の終わりや夜中にちょっと様子を見て。面倒くさくなって朝しか見ないことも多いです。また、トラブルが起きた時も構造が非常にシンプルなので対処しやすい。ほとんどの場合、原尿槽のポンプが詰まるぐらいで業者を呼ぶこと必要もありません。

 町村農場ではバイオガスプラントを単独設置したわけですが、最近は共同利用型が増えています。ただその場合は、構成員が減ってきた時にどうするかという問題があるかと思います。北海道でも酪農軒数は年々減ってきています。途中で参加戸数が減れば、入ってくる糞の量が減り発電効率が悪くなる上、1戸当たりのランニングコスト負担は増えてしまう。このあたりが共同利用の一番難しい問題になるのではないでしょうか。また、忘れてならないのは、バイガスプラントから発生する消化液の処理の問題です。町村農場のようにそれなりの耕地面積を抱えていれば土壌に肥料として還元できますが、多くの酪農家にはそれだけの農地が無い。そうなると、他の農家、例えば耕種農家などと連携して、液肥利用してもらうなどの対策が必要となってきます。単独型か共同型か、液肥をどうするかなど導入に際しての課題はけっこう多いと思います。

グリーン電力証書システム
電力を消費する会社が、自然エネルギーを使いたいと希望すると、日本自然エネルギー株式会社などがこの要望を受け、風力発電などを行う自然エネルギー発電事業者に発電を依頼。発電した証として“グリーン電力証書”を発行するものです。電気料金とは別に“グリーン電力証書”に対してもお金を支払うため、結果として通常の電気料金より高くつきますが、この“グリーン電力証書”には自然エネルギーで発電したことによるCO2削減などの環境付加価値も含まれるため、自然エネルギーをサポートするだけでなく、CO2削減にも寄与し、積極的な社会貢献となるのです

●自家発電用の電力契約の見直しを

 今後バイオガスプラントを導入する人がいたら、どこにどんな施設群を配置していくかを、最初の図面の段階できっちり練ることをアドバイスしたい。そうすれば、使い勝手のいいプラントができるはずです。残念ながら、うちは必ずしも使い勝手がいいとは言い切れないのですが、だからこそ、これから導入する人にはこの教訓をいかしていただきたいと思います。

 ここまでの経験からくる要望としては、電力会社へのお願いですね。自家発電をしている人は不足分を電力会社からの電力で賄う「自家発電補給電力契約」を結びます。これによりデマンド(最大電力)のピークを抑え、基本料金を下げられるわけです。しかし、発電所を止める時には事前に電力会社へ連絡を入れておかないと逆にペナルティを取られてしまう。私たちのように片手間に発電している者は、常時そこに付いていられないので、何かの事情で止まってもしばらく気付かないことがあります。実際、うちは結構なペナルティが付いてしまいました。

 しかし、かといって一般契約にすると、何かの拍子に30分止まっただけで、デマンドが跳ね上がり、その後1年間はその最大デマンド量で基本料金を支払わなければいけません。年間で発電所が止まった時間はたかが知れているのに、高い基本料金をずっと取られてしまう、それが悔しいですね。そこで、電力会社には、自家発電用の約款を新たに作っていただきたい。ぜひ検討をお願いしたいと思います。


4.施設の概要



各施設の運用


牛舎
200頭収容の成牛舎と月齢5ヶ月程度までの50頭収容の哺乳牛舎の2棟から毎日搬出される糞尿、約14〜15立方メートルを処理している。糞尿は尿溝に落とし、バンクリーナー(牛の糞尿をベルトコンベア風に運び出す装置)で原尿槽に搬出する。

原尿槽(容量140立方メートル)
原尿槽
バーンクリーナーで牛舎から搬送された糞尿は、まず原尿槽に貯留される。この原尿槽は以前、ばっ気槽として使用していた槽を改造したもの。タンクには油圧ポンプが設置されており、タイマーにより一定間隔(通常60〜90分)で、約50m離れた発酵槽へと地下配管を通して圧送される。一日の搬出量は、ほぼ一日の牛舎からの流入量と同量
発酵槽
発酵槽は2基あり、1次槽の容量は260立方メートル、2次槽は800立方メートル。糞尿は1次槽から2次槽へとオーバーフローの原理で移動。総発酵期間は約50日程度。
発酵槽はどちらも密閉型で37℃程度に保たれている。これによりメタン発酵が促され、メタンガス約60%を含むバイオガスが1日約500〜600立方メートル発生。ガスは2次発酵タンクの天井部に設置されたガスホルダーに収容される。素材はゴムで、伸縮性があり、ガスの発生量に応じて膨らむ。

ガスエンジン発電機
2次発酵槽にて回収されたバイオガスは、ガスホルダーから伸びたガス配管を通して、隣接する自家発電施設内のガスエンジン発電機(定格出力65kWh)で燃焼され、発電機の動力となる。
発酵期間を経た糞尿は、消化液として、鉄筋コンクリート製の貯留タンク(1,300立方メートル×2基、800立方メートル×1基)に収容され、その全量が農場の圃場の肥料として還元される。

ガスエンジン発電機 ガスエンジン室内の見学者用に用意された説明用パネル
 


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