1.芝浦特機株式会社とは
芝浦特機株式会社は、現社長の新地哲己氏が1977年に「シンチデンキ」として創業。当初は電気機械器具を販売していましたが、84年からは空調設備に業態を変更し、社名も現在の名称に改めました。その後、さらなる発展を期待して環境ビジネスに参入。子会社の九州メンテナンスでフロンガスの回収を始め、2002年からは住宅用、産業用の太陽光発電パネルの販売・設置をスタートしました。
太陽光発電の中でも、競合の激しい住宅用よりも産業用に活路を見出せればと発案したのが、集合住宅に太陽光発電システムを導入すること。これが「平成17年度第10回新エネ大賞」経済産業大臣賞を受賞した、全世帯太陽光発電システム供給型賃貸マンション「ニューガイア上石田」です。この成功を受けて、第二、第三のニューガイア・マンションが竣工。また、ディベロッパーとのタイアップで、分譲マンションにこのシステムを導入する企画も進んでいます。
「芝浦特機でしかできないこと」をキーワードに、太陽光発電の発電量を正確に測定する計測器の開発、既築マンションのリニューアル時に太陽光発電システムを導入する、といった新たなプロジェクトも計画。このような芝浦特機のチャレンジは、新エネルギーを活用した新しいビジネスモデルとして、大きな注目を集めています。
2.太陽光発電への取り組み
- 2002年
- 太陽光発電事業部を発足。住宅用、産業用に太陽光発電システムの施工を開始
- 2005年
- 北九州市小倉南区に、全世帯太陽光発電システム供給型賃貸マンション「ニューガイア上石田」竣工
- 北九州市「北九州エコプレミアム」エコサービス部門に選定
- 「平成17年度第10回新エネ大賞」経済産業大臣賞受賞
- 不動産事業部を独立させ、株式会社ニューガイアを設立
- 2006年
- 三井郡大刀洗町に「ニューガイア大刀洗」竣工
- 北九州市小倉南区に「ニューガイア高野」竣工
- 2007年
- 粕屋郡粕屋町に「ニューガイア博多東」竣工予定(3月)
- アースコーポレーションが小倉南区下曽根に建設する分譲マンション「アースコート下曽根駅前」で太陽光発電設備施工を担当。竣工予定(5月)
3.Back Stage Interview
入居者にもオーナーにもメリットのあるマンション
芝浦特機株式会社 代表取締役 新地哲己氏
●まさにそれは生みの苦しみだった
24歳で独立して家電製品を販売していたのですが、量販店の影響でそれが難しくなり、業態を変更して空調工事などをやっていました。幸い、創業以来28年間、売上げは一度も前年を下回ったことがなく、わずかながらですが、ずっと右上がりでした。ところが、売上げが3億の大台になった時、何か新しいことをしないと、それ以上の成長が望めなくなった。当時、オゾン層の破壊などが問題となっていたので、九州メンテナンスという子会社をつくり、フロンガスの回収事業を始めました。そして、もっと他にやることはないかと探していた時に出合ったのが太陽光発電です。
しかし、太陽光発電システムを販売しようにも、組織もノウハウもない。シャープさんの研修に行ったり、営業マンを入れたりしましたが、ぱっとしない。しかも、住宅用には大手の競合がいる。そこで、産業用をやろうと。ちょうどそんな時、うちの社員が「集合住宅に太陽光を載せられないかという問い合わせがきてます」と。
ここからが大変でした。九州電力さんへ話に行っても、受け入れてくれない。「前例がない」の一点張りです。1年ぐらい通ったでしょうか。九州経済産業局の方の口添えもあり、実証実験を行い系統連系に問題がないなら認めよう、というところまでこぎつけました。多分、九州電力さんは私が諦めると思っていたでしょうし、成功するとも思っていなかったでしょう(笑)。
私たちが考えていたものは日本のどこにもないものでしたから、説明のために3D映像や模型を作り、これを持ってシャープアメニティシステム株式会社のトップに直接交渉に行きました。熱意が通じて、奈良の新庄工場の屋上に同じものを作り、実験させていただけることになりました。九州電力さんが心配されていたのは、高調波や逆潮流の問題、負荷がかかった時の電位差ですね。ここに問題がないことを証明するために、33世帯分の電化製品を揃え、配電装置を作り、それこそハンダゴテから投降機、送風機まで全部用意してくれました。結果は、まったく問題ありませんでした。
●入居者のメリットがマンションの付加価値に
構想2年。完成したのが、6階建て全43戸、屋上に約65kWの太陽光発電システムを載せ、各戸に1.5kWずつ個別連系させた賃貸マンション「ニューガイア上石田」です。お陰様で竣工前から満室で、今も空き部屋待ちの状態が続いています。
なぜこんなに人気かというと、入居者にとってメリットがあるからです。つまり、いままでは省エネしようと思うとお金がかかった。個人で太陽光発電を付けるにもお金がいりますね。ところが、マンションに太陽光発電が付いていれば、初期費用を負担せずにすむ。さらに、余った電気を売れば、お金がもらえる。入居者にとって、こんなうれしいことはない。だから、建てれば竣工前に満室になるという、バブル全盛時代にもなかったぐらい人気のあるマンションができるのです。
ニューガイア上石田には、太陽光発電の他に、エコキュート、セントラル浄水器、省エネ大賞を取った空調機・スーパーパワーエコ、ITクッキングヒーター、食洗器、2個所の床暖房を標準装備しています。仮に、これらの設備を自分で買い揃えてローンを払うとなると、月5万円は必要でしょう。家賃(8万8000円)からこの分を引き、さらに省エネ・新エネで光熱費が1万1000円ぐらい浮く。そうすると、ほかよりちょっと家賃が高くても、「安いね」ということになります。ただ、これだけの設備を整えていますが、家賃については相場に合わせるようにしています。
当社では賃貸マンションは自社で行っていますが、分譲マンションはディベロッパーさんと組んでいます。その時の条件が、太陽光発電とエコキュート、セントラル浄水器の3点セットは必ず導入していただくこと。九州は他の地域と比べてガス代が高いので、オール電化でエコキュートを組み入れないと、効果的に光熱費が削減できません。
●上手に暮らせば、もっともっとおトクに
昨年の5月、6月は、10世帯で売電による利益が出ています。例えば、Hさんご夫婦の場合、使った電力量が128kWh(1909円)、売電が172kWh(4219円)、差し引き2310円。つまり2310円の利益が出たことになります。日中、留守にすることが多かったんでしょう。留守して電気を使わなければ、売るばかり。留守してお金を生んでくれるマンションは日本全国ここしかありません(笑)。05年4月〜06年1月までの10カ月間で月平均を出すと、1世帯あたりの光熱費は約3300円となります。
かといって、この人たちがケチケチモードで電気を消して回っているわけではないんですよ。要は、電気料金の仕組みを知って上手に使うこと。私たちは入居前に、時間帯によって電気代が変わるので賢く使ってください、と指導しています。例えば、洗濯や炊飯、掃除など電気を食うものは、安い深夜電力が適用される夜10時から朝8時までにするといったことですね。オール電化にしたら得すると思っている方がいらっしゃいますが、とんでもない。昼間に電気をたくさん使う生活パターンだと、逆に増えることもあります。
「奥さん、このマンションは、太陽光発電で発電した分はタダで使えるようになってます。タダで使ってお金をもらえないのと、ちょっと節約してお金をもらえるのと、どっちがいいですか」「それは、お金がもらえた方がいい」。だったら、昼間はなるべくガマンしましょう。昼間は隣に遊びに行くか(笑)、外に出かける。そうしたら売る方に専念できるから儲かりますよ。夕方に帰ってきて家事をすれば、従量電力と同じぐらいの金額になりますから、そういう使い方をしませんか、ということですね。
居住者アンケートでも、最初は設備の良さを評価しますが、何カ月後かには太陽光発電に高い評価が集まる。売電で利益が出ると、自然と節約しよう、省エネしようという気になるんです。最初は環境や新エネルギーに興味のなかった人でも、実際に体験すれば、その恩恵が分かる。そんな意味で、このマンションは新エネルギーのメリットを知っていただく良いきっかけになるのではないでしょうか。
4.データで見る「ニューガイア」
「ニューガイア上石田」における電力使用状況(05年4月〜06年1月)
10カ月の平均電力使用料金が一番少ない世帯(2人)は何と419円。4人家族でも1785円と省エネに努めている世帯がある。
5.続々登場! ニューガイア・マンション
ニューガイア上石田

・太陽光発電システム(多結晶445枚)
・容量:専有部1.5kW 43戸= 64.5kW(2LDKまたは3LDK)
共用部1.665kW 1 =1.665kW(エレベーター、電灯等)
・概要:鉄筋コンクリート造6階建、43戸、家賃6万8000〜8万8000円
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九州電力やシャープにプレゼンテーションするために製作した、ニューガイア上石田の模型。
屋上に敷き詰められた太陽光発電パネル。1枚約1平方メートルのパネルが445枚並ぶ。1世帯に10枚が割り当てられている。
エントランス吹き抜け上部のカーテンウォールには、陽射しを遮らないよう採光型太陽電池モジュールを採用(九州初)。
各住戸に設置されているパワーコンディショナー。これによって1.5kWずつ個別連系している。
室内に設置された発電量表示パネル。
ニューガイア大刀洗

・太陽光発電システム(多結晶160枚)
・容量:専有部1.57kW 15戸=23.55kW(2LDK)
共用部1.665kW 1 =1.665kW(エレベーター、電灯等)
・概要:鉄筋コンクリート造5階建、15戸、家賃5万9500〜6万9000円 |
ニューガイア高野(完成予想図)

・太陽光発電システム(多結晶340枚)
・容量:専有部1.57kW 33戸= 51.81kW(2LDKまたは3LDK)
共用部1.665kW 1 =1.665kW(エレベーター、電灯等)
・概要:鉄筋コンクリート造3階建、33戸、家賃6万9000〜8万8000円 |
ニューガイア博多東(完成予想図)

2007年3月竣工予定 |
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