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目次
1.特定非営利活動法人 伊万里はちがめプランとは
2.「地域資源循環」活動への取り組み
3.Back stage Interview
伊万里はちがめプランを循環型社会のモデルに
特定非営利活動法人 伊万里はちがめプラン 理事長 福田俊明氏
4.佐賀大学との連携
5.写真で見る伊万里はちがめプラン
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1.特定非営利活動法人 伊万里はちがめプランとは
伊万里はちがめプランは、1992年、伊万里の飲食店組合と旅館組合が、毎日大量に出る生ごみを何とかしようと「生ごみ堆肥化研究会」を発足させたことに始まります。「ごみとして燃やすのはもったいない。それに、商売で出た大量の生ごみを市民の税金で焼却してもらうのもヘンな話だ」と考えたのがきっかけでした。
以来、各種団体や行政、事業者、市民、大学と協力し、生ごみの堆肥化ならびに廃食油の燃料化を推進してきました。また、2000年に始まった「菜の花エコプロジェクト」、地域農産物直売所・はちがめふれあいステーション「風道(ふうどう)」の開設、地域通貨「ハッチー券」発行など、食資源が循環する町づくりと地域の活性化・自立を目指して、次々に活動の環を広げています。
ちなみに、伊万里はちがめプランの「はちがめ」とは、伊万里でいうカブトガニのこと。この名称には、日本最大のカブトガニの産地といわれる伊万里湾を美しいまま子どもたちに手渡したい、という願いが込められています。
2.「地域資源循環」活動への取り組み
- 1992年
- 「生ごみ堆肥化実行委員会」を結成し、「伊万里はちがめプラン」が始動
- 1997年
- 伊万里市に、伊万里地域循環ライフシステム整備計画書「伊万里はちがめプラン」を提出
- 伊万里農林高校応用微生物科との共同研究により、生ごみに対して活発に反応する醗酵菌の選別培養に成功
- 1998年
- 伊万里商工会議所の助成を受け「種菌培養実験場」が完成
- 県商工会連合会「地域ゼロエミッション研究開発事業」に参加
- 1999年
- 国、県、市、県商工会連合会、伊万里商工会議所の支援と市民の協力を受けレーン方式「生ごみ堆肥化実験プラント」が完成
- 2000年
- 九州通商産業局(現・九州経済産業局)、伊万里市助成による伊万里商工会議所委託地域振興活性化事業「平成12年度 伊万里ゼロエミッションシステム研究開発事業」《生ごみ堆肥化実験事業》を実施
- 菜の花プロジェクト先進地・滋賀県愛東町、滋賀県環境生協を視察見学
- 地元農家、市民と協力して「菜の花エコプロジェクト」結成
- 菜種搾油機を導入(雇用能力開発機構佐賀センターの助成)
- 2001年
- 伊万里商工会議所委託事業「平成13年度 伊万里ゼロエミッションシステム研究開発事業」《生ごみ堆肥を使った栽培実験》を実施
- 福田氏、佐賀県「環境サポーター、地球温暖化防止活動推進員」に委嘱、小中高生、一般市民に対し本格的な環境啓発活動開始
- 市民による生ごみステーション第1号設置(10名)。一般家庭の生ごみを実験的に回収
- 「第1回はちがめ市」開催
- 読売新聞社主催「第11回地球にやさしい作文・活動報告コンテスト」経済産業大臣賞受賞
- 2002年
- 廃食油バイオディーゼル燃料製造装置を導入(環境事業団地球環境基金の助成)
- 「第1回九州菜の花サミットin 伊万里」開催。「第1回菜の花まつり」同時開催
- 国際ソロプチミスト日本財団主催「環境貢献賞」授賞
- NPO法人元気ネット主催「元気大賞2002」受賞
- 2003年
- 環境保全創造住民活動事業「伊万里『環の里』計画」スタート
- 「第2回菜の花まつり」開催
- 佐賀県より特定非営利活動法人として認証され、NPO法人として正式にスタート
- 佐賀大学農学部とのタイアップで、むらとまちを結ぶ地域資源循環型ネットワーク支援事業「はちがめエココミねっと」発足
- テレビ九州朝日放送「第6回KBC水と緑の大賞」受賞
- 2004年
- 農産物直売所・はちがめふれあいステーション「風道(ふうどう)」 オープン(経済産業省市民活動活性化事業助成)
- 地域通貨「ハッチー券」を発行
- 水俣市主催「第8回環境水俣賞」大賞受賞 、(株)サガテレビ主催「第1回佐賀環境賞」大賞受賞
- あしたの日本を創る協会・読売新聞・日本放送主催「ふるさとづくり主催者賞」受賞
- バイオマス活用協議会主催「バイオマス利活用優良賞」受賞
- 2005年
- 環境カウンセラーとして環境省に認定登録される
- タイ王国を訪問し、生ごみ堆肥化の調査・指導を実施
- 佐賀大学のキャンパス「サテライト教室」設置
- タイ王国から視察団来訪
- 2005年
- 「平成17年度第10回新エネ大賞新エネルギー財団会長賞」受賞
- 農水省「立ち上がる農山漁村」の30事例に選定される
- 菜の花による環境シンポジウム開催
- 食と環境・エネルギ−・伝統陶芸・文化の薫る伊万里の旅路プロジェクト協議会結成(佐賀観光連盟支援)
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3.Back Stage Interview
伊万里はちがめプランを循環型社会のモデルに
特定非営利活動法人 伊万里はちがめプラン 理事長 福田俊明氏
●莫大な税金を使って処理されている生ごみ
私たち「伊万里はちがめプラン」は、生ごみや廃食油を不潔不要な厄介物として燃やしたり、埋めたりするのではなく、資源として活用するために活動してきました。
事業を始めるにあたり、生ごみについて調べてみると、(1)伊万里市では、燃えるごみは1日約41トン排出されている、(2)燃えるごみの焼却コストは1トンあたり3万4000円で、毎日約140万円の税金が投入されている、(3)燃えるごみの40%が生ごみで、生ごみには約80%の水分が含まれているため、焼却には大量の化石燃料が必要、(4)焼却によって出る残灰は年間2500トンに上り、埋め立てられている、といったことが分かりました。
もちろん伊万里市だけでなく、全国どこでも、ごみ処理には莫大な税金が投入されています。焼却すれば、二酸化炭素やダイオキシン、環境ホルモンといった汚染物質が空気中に排出されるし、処分場に埋め立てても、土壌や地下水の汚染を招くことになってしまう。つまり、今のままでは金銭的にも社会的、環境的にも果てしない悪循環を繰り返すしかないのです。この悪循環を断ち切るためには、生ごみを“ごみ”にしない、資源として循環させるという、発想の転換が必要でした。
●市民の高い環境意識に支えられて
現在、生ごみを回収に協力してくれる事業所は、飲食店やホテル、マーケット、食品加工業、学校給食センター、保育園など約60軒。職員が、年中無休で1日4回、これらの事業所を回って生ごみと廃食油を回収しています。事業所が支払う処理費用は、多いところで月10万円、一番少ないところで5000円くらいですね。
一般家庭の場合は、5〜15世帯を1グループとして「生ごみステーション」を設けており、現在26カ所あります(約220世帯が参加)。2日あるいは3日に1回の割合で回収しており、処理費用は1世帯あたり月500円。
伊万里の特徴として、一般家庭の皆さんの意識が非常に高いことがあります。私たちは最初、生ごみ処理費用をいただくつもりはなかったのですが、皆さんが「出さなければいけない」とおっしゃいました。有り難いことに、これまで一度も集金に行ったことがありませんし、その心配をしたこともありません。
もちろん、スタート前は「市の回収ならタダなのに、なぜお金を出さなければいけないのか」という方が、1グループに一人はいらっしゃいました。ところが、始めてみると、月500円には意外に価値があった。その最大の理由が、真夏でも家の中に生ごみの臭いがしないこと。夕方に捨てられるので、「家に臭いがこもらず、朝、台所に立つのがすごく気持ちいい」とおっしゃいます。一方、市の燃えるごみの収集は週に2回。それまでは家の中に置いておかなければならないので、どうしても臭くなる。旅行や外出から帰ると全然違うそうです。だから、生ごみ回収を成功させるなら、夏にスタートするといいですよ(笑)。
●親から子へ。伝えるのは環境を守る心
私たちは、はちがめ堆肥化プラントを小、中、高校生の総合学習や市民の生涯学習の場としても活用し、環境保全に対する啓発活動を続けています。
伊万里の小学校には、年間10校ぐらい講演に行きます。他の市や県の小学校にも呼ばれますが、伊万里の子どもたちは反応が違いますね。毎年講演に行ったり、ここに見学に来たり、生ごみを堆肥にする実験や菜の花の移植・収穫……。そんな授業は、父兄の皆さんも結構見にいらっしゃる。こうした活動を続けていると、家庭の中に自然に環境に対する意識が芽生えてくるようで、子どもたちはすっと話に入ってくる。
一方、他の小学校では、まず盛り上げるのが大変。最初は「なんば、いいよらすとやろうか!このおじちゃんは?」「聞きんしゃいよ、大事なことをいいよっとやけん!」というような感じ(笑)。子どもたちの心開くまでに20分ほどかかります。やがて、皆がわあわあ言い始めて、やっと内容に入るといった具合です。
菜の花プロジェクトを始める小学校に呼ばれることが多いのですが、まず「菜の花プロジェクトとはどういうものか」という心構えを教えます。そうしないと、菜の花の移植をさせた時、「なーんで、私はこれをせんば、いかんと?」という気持ちになりますからね。
●お土産にも大人気の「はちがめ堆肥」
事業所や一般家庭から回収した生ごみは、約100日かけて熟成した「はちがめ堆肥」になります。はちがめ堆肥は、協力栽培農家や菜の花エコプロジェクトの現場で使用するほか、市民菜園やガーデニングで野菜や花を育てる際に、お使いいただいています。
販売場所は、はちがめふれあいステーション「風道(ふうどう)」をはじめ、ホテル、レストラン、飲食店、マーケットなど約10カ所。あと、全国から人が来るウェルサンピア伊万里にも置いてあるので、皆さん、お土産に買っていかれます。100円でお土産。こんな安いお土産、あるもんですか(笑)。そして、喜ばれる。
佐賀大学農学部の染谷孝先生の分析(蛍光染色法)によると、はちがめ堆肥の菌数は50日頃、温度が80℃の時点で1g中約600億個、完成堆肥に一番必要な放線菌は1億個/g以上含まれており、これはかなり高い数値だそうです。大阪からも注文が来たりするのですが、かえって運賃の方が高くなる(笑)。
最後に申し上げたいのが、伊万里はちがめプランは生ごみの堆肥化という事業を行っていますが、ビジネス、つまり儲けが最終目標ではないということです。環境の改善を通して、自立的な循環型の地域をつくりたい、伊万里を豊かな町にしたい。そのために、生ごみ堆肥化や廃食油の燃料化がある、菜の花エコプロジェクトや地域通貨もやる。こういった一連の活動を循環型社会の一つのモデルとして、広くアピールしていきたいと思っています。
4.佐賀大学との連携
伊万里はちがめプランでは、一貫して堆肥の品質にこだわってきた。独自に改良を重ねる一方、2000年からは佐賀大学農学部・染谷孝助教授に「はちがめ堆肥」の科学的分析を依頼。01年には同助教授にゼロエミッションの委員会メンバーとなっていただき、助言・指導を仰いだ。これが縁で、03年からは佐賀大学農学部が組織的に伊万里はちがめプランを支援する「はちがめエココミねっと」がスタート。より良質な堆肥づくり、堆肥の生産性向上、堆肥を使った栽培実験、高品質BDFの生産、さらに食資源循環による環境と経済の調和などについての共同研究が行われている。
また、05年には伊万里はちがめプランの事業地が、佐賀大学のサテライト教室として認められ、ここで単位取得ができる授業が始まった。微生物の研究、堆肥化の技術習得や資源循環型社会の考え方などについて、教養課程の学生はもちろん、農学部や教育学部の専門課程に進んだ学生たちが実地の場で学んでいる。
5.写真で見る伊万里はちがめプラン
収集した生ごみは、おがくずやもみがらなどを混ぜた後、毎日切り返して初期発酵させる。
1週間の初期発酵後、堆肥化実験プラントのレーンに堆肥を投入。
レーン式自走発酵マシーンで攪拌しながら本格的に発酵させる。約40日間の中間発酵、約60日間の熟成を経て良質の完熟堆肥に。
でき上がった堆肥は、JR伊万里駅構内にある観光案内所やホテル、レストラン農産物直売所などで販売されている。2キロで100円。
地域通貨券「ハッチー」。1ハッチー100円相当で、1ハッチー、5ハッチー、10ハッチーの3種類ある。すでに14,000枚の通貨が流通している。
伊万里はちがめプランの取り組みを聞く長崎からの視察団。このような見学は年間1000人を超す。
菜の花エコハウスに設置されている菜種油をつくるための搾油機。
菜の花エコハウスにある廃食油BDF製造装置。
廃食油BDFで走る伊万里はちがめプランの広報車。
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